日ノ丸
寒さもなくなり、段 々暖かくなってきた春先。
公園の隅に咲く、綺麗な花 々に集る幾つもの小さな点があった。
気になって近づいて見れば、生まれてから無休で働き続けると言われたミツバチの姿があった。
そこに居るミツバチは一匹だけでなく、五匹はいた。それぞれ蜜を採取するために、花から花へと飛び回る。
俺を見ている内に「いつまで、蜜を蓄えるつもりだ?」と言う疑問が生まれる。あんなに小さな体だ。蜜を吸っては、また次の花へと飛んでいく。それが何十、何百と続いて、ようやく花から花へと移るのをやめて、どこかへと飛び去って行くのだった。
「巣へと帰ったのだろうか?」と思うと同時に、時間を忘れてミツバチに気を取られすぎていたことに気付いた。その時既に、日が沈みかけ、西の空が紅に染まっていた。
ミツバチをずっと見続けていたお陰で少し疲れたようだった。その為、その日は黙って帰路につくことにした。
翌日の日曜。
日中から家の中で、暇を持て余していると、母さんに「掃除をするから、外で遊んでいらっしゃい」と言われ仕方なく外に出る。
何をしようかと考えながら適当に歩いていると、いつの間にかに昨日ミツバチを眺めていた公園の前だった。
気になって、ミツバチが集っていた花 々のところまで歩いて行く。
――またいるよ。
思わずそんな言葉が頭に浮かぶ。
花 々の近くには、今日もミツバチ姿があった。しかし、今日たった一匹になっている。
――昨日の、蜂だろうか?
だがその一匹も、もういっぱい、とばかりに巣があるのであろう方向へと飛んで行った。
――今日は切り上げが早いな。
そう思うが否や、その蜂が消えていった先から、再び蜂が姿を現し、蜜を吸い始める。
――またかよ!! 小さいんだから少しは休め!
そう心の中で叫びながら、そのミツバチを檻に閉じ込めるように両手で覆った。
しかし、休んではくれなかった……。その針が――。
(完)
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