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蜂蜜エッセイ応募作品

MANUKA

ito乗

 

 オーストラリアに短期留学中の時のこと。
 
 スーパーで買い物中、棚のはちみつに目を惹かれた。はちみつは家でよく使うし、7ドルと手頃だったので家族へのお土産にでも……とずっしり重い容器を手に取った。そしてふとパッケージに目をやったところ、M、A、N、U、K、A……マヌカ?!
 何とそこには日本でもお馴染みのマヌカハニーと書かれていたのだ。マヌカハニーと言えば小さなひと瓶でも3000円ほどする高級なイメージのある食材だが、オーストラリアで売られていたものは7ドル。日本円で何と500円程である。
 まあ、これがパチモンだとしても普通のはちみつとして食べれるだろうし、7ドルならそこまで損した気分にもならないし、と購入した。
 翌朝、ホームステイ先の家の食卓につくと、まさにあの疑惑のマヌカハニーと全く同じものがテーブルの中央に置かれていた。昨日から何だかずっと味が気になっていた私は、おそるおそるそれをスプーンに取って舐めてみた。すると、
 
 「しょうゆの味だ……。」
 
 驚くことに醤油の味がしたのである。思わず笑みがこぼれた。
 今でもあのマヌカハニーはホンモノのマヌカハニーだったのか、その真偽の程は不明だが、この出来事は少しホームシックになっていた私にとって、くすりと自然に笑えた温かな思い出でである。

 

(完)

 

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