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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜の効用

小林梨花

 

 蜂蜜の甘さと滋養の効能については、古くから知られていた。幕末、桑名藩の下級武士によって記された「柏崎日記」にも、蜂蜜に関する記事がある。日記の作者が「瘧」(おこり)、今でいうマラリアの治療の為に、代官らのお金廻りのよい上役に勧められて値段も聞かずに、その薬を薬種屋に注文する。その薬とはキナ、即ちキニーネと蜂蜜である。キニーネはマラリアの特効薬としてキナの木の皮から製造される。今でも、かってオランダ領であったインドネシアでマラリアの特効薬として栽培されている。鎖国中の江戸時代では、オランダとの交易によって、長崎出島から輸入されていたのだろう。キナの服用は、キナ自体は大変苦みが強いので蜂蜜と練り混ぜて飲んだとある。当時の武士達は、歳暮や病気見舞に白砂糖を使っているが、キナの服用には白砂糖は使わず、蜂蜜を使っている。蜂蜜の持つ薬としての成分が砂糖に比べ格段に勝ることが知られていたからであろう。日記には作者の家族が瘧の振るい日になり、熱や寒気に襲われて苦しむ様子が描かれているが、それは家族がキナを服用しなかった為である。何故、服用しなかったか。その理由はキナの値段にある。一人分、キナ八匁で十二両、蜂蜜十六匁で五十文である。しかし、この高値で効能の高いキナを服用するには、どうしても蜂蜜が必要であったことに注目したい。
 江戸時代では薬であった蜂蜜が、今では食用として色 々な形で賞味出来るようになった。沢山の花あってこその蜂蜜である。地方の畑作地が人口減により荒廃して、日本蜜蜂も減少しているという話もある。荒れ地に花や蕎麦を植えて蜜蜂を集め増やそう。個性のある香りと味を持つ蜂蜜の量産につなげて行こう。そうすれば蜂蜜が誰にでも購入し易い値段になり、国民全体の健康増進にも繋がるだろう。

 

(完)

 

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