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蜂蜜エッセイ応募作品

Bee Hotel

鈴木恵理

 

 オーストラリアに留学してから5カ月ほどたった頃、私はさまざまな場所で開かれるマ ーケットに行くことが週末の日課になっていた。売っているものは食べ物や服やアクセサリー、場所によってはドリームキャッチャーのような民芸品を売っているところもあった。
 ある時、マーケットで人が集まるブースを見つけた。何を売っているのかと覗いてみると、 木で作られた小さなかわいらしい家型のオブジェであった。カラフルに彩られたオブジェ は様 々な大きさの円柱が組み合わされている。
 「これは何?」と店主に聞くと「Bee Hotelだ。」という。名前から翻訳すると「蜂のホテル」ということになるがいまいち実態がつかめない。私のピンとこない空気を察して店主の おじさんは続けて説明した。
 「これは、Bee Hotelと言って庭で蜂を飼うことができるんだ。カラフルでいいだろう。」
 「オーストラリアでは蜂をよく飼うの」と聞くと、
 「ああ、ガーデンがある家にはおいておくといい。農作物の受粉を蜂が手伝ってくれる。あ、でも蜂蜜はできないから期待しちゃいけないよ。」
 おじさんはそう説明してくれた。
 不思議な文化だ。ブースの前に置かれている蜂の写真を見て、小学校の時の記憶が蘇る。
 農園が近かった私の教室には午後になると時 々小さなミツバチが入ってきた。私はきゃーっと騒ぐ友達を横目に「自分は気にしていません。」といったそぶりを見せつつ天井を行 ったり来たりする蜂に刺される恐怖のあまり目が離せなかった。
 もし、子どもの頃にBee Hotelが家の庭にあったら蜂に対する意識はもっと違ったかも しれない。いや、もしかしたら蜂だけだはなくて虫全般と仲良くなれたかも。
 日本にない様 々な文化に触れるたび存在しない違う文化で育った「わたし」を想像する。それは今の自分が存在する奇跡を私に教えてくれた。

 

(完)

 

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