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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

朝の幸せ

楠木ナツキ

 

 カーテンを開けると、朝日が気持ちよく差し込んでくる。雲の少ない青空が広がっている。今日は少し暖かいかな。そんなことを考えながら、ポットに水を入れ、電源を入れる。
 顔を洗い、歯を磨く。制服に着替えてから、食パンをトースターにセット。焼きあがるまでの時間に、フライパンを取り出し、油を敷く。火を付け、温まったところにベーコンを二枚入れると、ジューっと音を立て、燻製のいい香りがしてきた。そしてそこに卵を入れる。つややかな黄身を取り巻くように存在する白身。ふつふつとしてきたら水を投入して蓋をする。あとは待つだけ。
 蓋をあけると、半熟の卵とベーコンのいい香りがする。塩コショウを振り、皿に移す。ポットのお湯も沸いているみたい。ココアの粉を入れたカップにお湯を注ぐ。湯気が立ち上る。
 チン――
 食パンの焼けたいい匂いが漂う。パンを皿に移して、私は冷蔵庫からはちみつとバターを取り出す。パンにたっぷりとはちみつを塗り、バターをひとかけら。甘い香りが心地いい。
 それらを机に並べて、座る。手を合わせて、
 「いただきます――」
 まずははちみつたっぷりの食パンにかぶりつく。はちみつの甘さが口いっぱいに広がり、とともにくるバターの塩気がたまらない。朝のこの瞬間が大好き。毎日食べているのに全く飽きない。ココアを一口。冬の朝のココアは絶品。そして目玉焼き。半熟に焼かれた卵を割ると、とろりと黄身が流れ出す。ベーコンに絡めて食べる。何と贅沢な味。卵の濃厚な味にベーコンの肉感が合う。
 朝食が一日で一番の幸せ。明日は、はちみつと何を食べようかな。
 
 そんなはちみつに溢れる毎日を、私は送ってみたい。

 

(完)

 

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