yoyoyo
ニュージーランドのマヌカハニー。
私が初めてその一癖ある蜂蜜に出会ったのは、15年前のニュージーランドだ。
出会いはキョーレツだった。最大の都市オークランドのメインストリートで、中国系土産物屋のオバちゃんに呼び止められたのだ。しかもめちゃめちゃ大声で。当時ワーホリでやって来たばかりの23歳、カタコト英語が精一杯な私は正直怒られてるのかと思った。
オバちゃんはプラセンタ(羊の胎盤クリーム)を売りつけたい様で、「3個買ったら1個free!」「いくらなら買えるの!じゃあこれでどうなの!」と怒鳴りつけてくる。めっちゃ怖い。
オバちゃんの怒りを沈めたいがプラセンタは高かった。週給320NZ$(2万8000円くらい)でブドウ畑勤務予定、現無職の初心者ワーホリ女子には高級品だったし、ぶっちゃけ美容にお金をかけている余裕はない。
そこで目についたのが、隣に並んでいた蜂蜜である。とっさに「コレは?」と聞いてみた。今考えれば最悪だ。まさか蜂蜜1つがプラセンタの倍以上すると思わないだろ普通。
この時私は初めて、このお高い蜂蜜には数字が振られていること、そして数字が大きい程お値段も上がる事を学んだのである。
ちなみにその後、オバちゃんからは逃げきった。一個5000円近くすると知った瞬間に、私の中で何かがキレて戦う力が生まれたのだと思う。カタコト英語で大声で言い争ったという経験は、その後の滞在生活に大いに自信を与えてくれた。
そんな高級マヌカハニー。もちろん滞在中に口にする事など出来ず、しかし私の中にキョーレツな印象を残したソレを是非ともお土産に、とがっつり購入して帰国した。正直だいぶ頑張った。金銭的にも重さ的にも。
そして友人知人に、いかに高級かつ身体に良いかをアピールしながら配り倒したが、当時の日本では全く知られていないマイナー蜂蜜。更にソコソコ癖のあるお味。軒並み微妙な反応を頂き、悔しい思いをしたのを覚えている。
さて、あれから15年以上が過ぎ、日本はやっとマヌカハニーの価値に気がついたらしい。どこに行っても必ず売っている。というか、まさかこんなに流行るとは…正直軽く引くレベルだ。
私のニュージーランドの洗礼とも言えるマヌカハニー。私の推したあの癖のある蜂蜜、やっぱり良いでしょ?と言いたい。いや、実際あの時配った相手には何度か言った。
ニュージーランドは素晴らしかった。特にアイスクリームを始めとする乳製品と、絶景は世界屈指だと思う。そしてマヌカハニーもまた、あの土産物屋の記憶と共に私の大事なニュージーランドの一押しの一品なのだ。
(完)
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