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私にとって蜂蜜は「秘密の味」だ。
これは誰も知らないことであるが、私は蜂蜜が大好きである。
もちろん、私が蜂蜜好きなことなど、他人に言いふらすことでもないので、これは私だけの「秘密」となっている。
私は大学生の身であり、食費を親からの仕送りでやり繰りしているため、食品を買うときは、どれだけ安く買えるかに懸けている。
そんな私が、唯一、少 々高いことも厭わず買い物カゴに投入する食品…それが蜂蜜である。
蜂蜜は私の中で食品ヒエラルキー最上位に君臨するお方なのである。
それくらい、私は蜂蜜が好きだ。
蜂蜜は私に幸せを運んできてくれる味だ。
トーストに染み込んだ蜂蜜、ヨーグルトの砂糖代わりの蜂蜜、ホットミルクと共に混ぜる蜂蜜…。
どれも蜂蜜をかけなくても美味しいかもしれない。
しかし、蜂蜜を入れると、食べた瞬間にほっとする、温かく深い味へと進化するのだ。
また、蜂蜜を選ぶひと時も、それはそれは幸せに包まれる瞬間である。
ローヤルゼリー入り、カナダ産、純正…。
どれを選ぶか。
それは私の気分、蜂蜜の量、そして値段という全てを考慮し、その時の最良を選択するという、自分対自分のゲームのようでもある。
基本的に私は、自分の気分と相談しつつ、量も値段も中間ぐらいのものを選ぶ。
しかし、先日そんな私にいわゆる「ちょっといい蜂蜜」を購入できる機会が訪れた。
あれはテスト目前、疲れながらも買い物へ行き、レジにて会計をした時に渡された一枚の紙。
500円クーポン券である。
私は迷うことなく、蜂蜜売り場の前へ向かい、普段は買わない「ちょっといい蜂蜜」を手にし、嬉 々としてその商品を購入したのだ。
その蜂蜜が、テスト期間中の私の精神状態を支える支柱となっていたことは、誰も知らない「秘密」である。
この小さな幸せに満足しながら、今日も私は「秘密」をトーストの上にたっぷりとかけ、幸福 感と共に咀嚼するのであった。
(完)
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