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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜は感謝の味

丸野健雄

 

 私達の集落南阿蘇村立野は、熊本阿蘇外輪山の中腹、いわゆる中山間地で、高齢化と過疎化が進んでいました。この集落は450年前、私たちの先祖である、肥後細川藩の下級武士たちが遠くから水を引いて造り、今日まで棚田を営 々と耕していました。見下ろせば、熊本平野から有明海、その先には雲仙まで見える景色が自慢のところでした。
 2016年4月16日熊本地震に遭遇し、4か月の避難所、そして2年半の仮設住宅生活を強いられました。長期避難の指示が解除され、約半分の住民は故郷立野に帰りましたが、残りは生活に便利な近郊の町や市に移転してしまいました。私も、熊本市内に雨にも風にも強いマンションを求め移り住みました。
 確かに、買い物も通院のも便利でしたが、なぜか幸せ感がありません。町はコンクリートで固められ雑草を引く土地もありません。マンションでは壁1枚隔てたお隣さんと口を利くことがありません。
 この寂しい思いは私ばかりではなく、多くの人が田舎のちょっと面倒なあの絆が懐かしくてたまりませんでした。そこで、お寺を核にして集う「お寺座」を立ち上げました。2ケ月に1度ですが、檀家の人もそうでない人も、お弁当を食べておしゃべりをするという集いです。この資金はなんと岐阜県の空安寺というお寺の住職が毎月送っていただいているのです。そして地元の3つのお寺が協力して運営をしていただいているのです。
 その中の、長隆寺の住職は巣箱も2~3個持つ、アマチュア養蜂家でした。ある時、参加者全員に小瓶に入れた蜂蜜を分けていただきました。
 私達は地震に被災し、多くの物を失い、苦労もしました。しかし、おおくの経験をさせていただき、人の優しさに触れました。それでも寂しさのあまり、つい愚痴ってしまうこともあります。そんな時いただいた蜂蜜をなめると、そのやさしい甘さは、わがまま言っちゃいけないよと励まし癒してくれる感謝の味でした。

 

(完)

 

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