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蜂蜜エッセイ応募作品

母のはちみつジュース

松山 りさ

 

 子どもの頃、わたしの家では市販のジュースを飲むことがなかった。母に理由を尋ねると、決まって、わたしと妹がご飯を食べなくなってしまうから、という素っ気ない答えだった。
 だから、友だちの家や祖母の家でご馳走になるジュースは、わたしにとって夢のような飲み物だった。きれいな色をしていて、冷たくて、甘くて、すっぱくて、シュワシュワしていたりキラキラしていたり。
 「こんなのをいつでも飲めるなんて、いいなあ。」
 ちょっぴり恨めしい気持ちになったりした。
 ある時、夏休みに母がはちみつジュースを作ってくれた。
 グラスに金色のはちみつをとろーっと1センチくらい流し込み、水と氷りで割って、輪切りのレモンを1枚浮かべる。その様子を、妹とわくわくしながら見ていた。それから、マドラーでカランカラン混ぜながらいただく。ひとくちすすると、はちみつのやさしい香りと甘さがうわーっと広がり、体じゅうに行きわたる 。それから大事に大事に味わいながら飲むのだ。
 暑くてたまらない時は、もったいないけれどいっき飲み。途端に元気が湧いてくる感じが、たまらない。
 はちみつジュースは、夏の毎日のお楽しみになった。
 やがてわたしにも子どもが生まれ、小さい頃からよくく夏に、あのはちみつジュースを作っている。わが家では普通に市販のジュースも飲むけれど、はちみつジュースは子どもたちの大のお気に入りだった。
 カランカランと混ぜながら、みんなで一緒に飲む時、楽しくて美味しくて、そしてちょっと懐かしい、今もわたしにとってとても幸せなひとときなのだ。
 はちみつジュースは貴重な自然な恵み、どんな飲み物よりもぜいたくだったのだと今ごろ気づき、母に感謝するのである。

 

(完)

 

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