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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

上司の蜂蜜

みやこ

 

 最近は蜜柑の花からとれた蜂蜜がブームらしい。
 ヨーグルト、珈琲、果てはサラダにまで蜂蜜をかける上司は、ボトルが一本になると必ず新たな蜂蜜を補充する。
 
 新人の頃、お昼時には必ず珈琲脇にお供している蜂蜜が気になって、なぜ砂糖ではないのかを聞いたことがあった。
 曰く健康法なのだと。
 疲れたら甘いものが欲しくなる。しかし砂糖をドバドバとかけたのではあまりにも身体に悪い。味も単調である。だから花によって様 々な味わいが楽しめる蜂蜜で、健康的に糖分を摂取しているのだ。とかなんとか。精一杯理論的に聞こえるように語っていたが、最後にポロリとまあ蜂蜜美味しいしね。と言っていたのが本当の理由だろう。
 使いたかったら君も使いなさいねと言われたのが少し嬉しくてよく覚えている。
 
 蜂蜜にも見慣れて来た頃、段 々仕事を任されるようになった。できることが増えた分、残業をすることも増えてしまって、自分でもイライラすることが多くなるのがわかった。
 その日も残業の長い夜を凌ぐため、珈琲を入れに給湯室へ向かった。しばらくして戻ると、机に見慣れた蜂蜜ボトルが置かれていた。見兼ねた上司の気遣いだったのだろう。ボトルの下にはどうぞと書かれたメモが挟まっていて、私はそれを遠慮なく珈琲に入れた。
 初めて蜂蜜をこんなに使ったかもしれない。疲れていたし、甘いものも欲しかったしで結構な量を入れてしまった。流石に甘すぎるかもしれない。と覚悟して口にした一口目はスルスルと溶けるように飲めてしまった。あまりにも自然な甘さで少し驚く。なる程これが自然な甘さか。心なしか体もポカポカで気持ちがホッとするような感じがした。一気に飲み進めて温まった頃ようやっと落ち着いてきて、ほう、とため息をつく。蜂蜜、意外といいのかもしれない。余韻に浸っていると、いつの間にかボトルをおいた犯人が隣にいてた。自慢げに「鬱にもならないんだぞ、蜂蜜は。」と言ったので、素直に「なりませんね確かに。」とだけ返した。
 今度上司の棚に新しい味の蜂蜜ボトルを忍ばせておこうと決めた。

 

(完)

 

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