雫石 晃嗣
蜂蜜といえばバターとの相性がいいものです。いわゆるハニーバターというものですが、ハニーバターといえはホットケーキを連想してしまいます。そして私にはこんな思い出があります。
私がまだ小学生の低学年の頃、晩御飯の後によく家でホットケーキを作っていました。父と母と私の三人家族なのに、一度に四枚も五枚も焼いていました。小さかった私はいかにきれいに焼くかが重要であり、ホットケーキを食べるということは二の次だったのですが、焼きあがったホットケーキには冷蔵庫にあったバターを塗り、そしてたまたま貰っていた蜂蜜をかけて食べてみました。すると初めての蜂蜜バター、ハニーバターの味に私は小さいながらに感動していました。
今だからわかることですが、ホットケーキに染み込んだバターと蜂蜜がとても優しい塩味と甘味のバランスだったからです。もちろん当時の小さかった私には塩味と甘味とのバランスなど知る由もありませんでしたが、とても美味しくて晩御飯の後でも二枚のホットケーキを食べた記憶があります。
一般的にホットケーキにはメイプルシロップとバターをかけるものですが、私は偶然にも蜂蜜とバターという優しいバランスの味を醸し出す組み合わせを知ってしまったのです。蜂蜜とバター、ハニーバターはまさに私にとって魔法の被膜でした。そしてホットケーキへのバターと蜂蜜のかけ方、それが私にとって今でも守っているレシピでもあります。それはお好み焼きにかけるマヨネーズのように網目状にホットケーキに蜂蜜をかけるというレシピです。
もうこの世にはいない母親が教えてくれたホットケーキ用の蜂蜜のかけ方のレシピですが、あれから五十年近く経った今でもまだ我が家には蜂蜜とバター、ハニーバターのかけ方のレシピが小さい頃の父親と母親の思い出とともに残っています。
(完)
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