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蜂蜜エッセイ応募作品

転校生

北野 ユウ

 

 もう50年前になる。北海道の日高山脈が見える自然豊かな小学校に ある日少年の転校生が来た。
 転校してきたのは お父さんの仕事の養蜂のためで たしか「いままでは転 々としてきたけれど この辺りはいい蜂蜜が取れそうだから住み着く予定」とのことだった。
 たまにしか来ない転校生。
 蜂蜜ってどうやってつくるんだろう?
 私は興味津 々だった。
 何も言わなかったはずだけど ある日彼は同じ班のみんなを 放課後うちに来ないか、と誘ってくれた。
 もう遠い記憶だが、にこにこ物静かな笑顔の 白いものをまとった彼のお父さんが 皆に いろいろ説明してくれ、蜂がわ~っと箱からでたか入ったか ・ ・ ・とにかく素手だったお父さんや 私たちが刺されたりしないかな?とかどきどきしたり いままで知らなかった仕事の現場を見れたことが とても楽しい思い出としてずっと心に残っている。
 あの湿り気を帯びた空気 初夏の良い草の香り。 静かに私たち子どもに優しい目を向けてくれていた彼のお父さんの様子。きっと傍らの彼は得意そうな顔をしていたろう。
 
 カレーに 生姜焼きに きんぴらに また風邪気味の時のホットレモンにと 結婚して以来台所に蜂蜜を切らしたことがない。お匙にとって使う度 あの時の蜂蜜はどんな味だったろうと思い、そして彼のお父さんの優しい眼差しをふっと思い浮かべるのだ。

 

(完)

 

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