熊倉省三
私たち老夫婦を息子が誘ってくれた。そういえば、そろそろ妻の誕生日である。
待ち合わせたのは、息子が行きつけるダイニングバーである。妻は「なんでバーなの?私は飲めないのよ!」と不機嫌である。息子は、「そういわないで、バーに来ることはないのだから」と、長いカウンターに、妻を真ん中に並んで座った。
息子はいつも飲んでいるらしいウイスキーのソーダ割、ハイボールをバーテンダーに注文した。私も息子と同じものをお願いした。妻はまだ不機嫌である。
いきなり妻は「私は甘党なの、甘ったるいカクテルは嫌よ、何かある?」とバーテンダーに言った。
「では、同じウイスキーを使ったカクテルをつくりましょうか?」
「?」
「蜂蜜と組み合わせます。同じハイボールにしましょうか? ウイスキーと蜂蜜のソーダ割りに、レモンの輪切りを入れると甘酸っぱくなり、さっぱりと飲むことができるようになります。ミントを飾ると爽やかな風味がプラスされ、見た目も鮮やかになりますね。
妻は、カウンターの蜂蜜ハイボールを口にして「おいしいね」と小さく笑い、機嫌をなおしたようである。
バーテンダーによると、ほかに「蜂蜜ホットウヰスキー」「蜂蜜ウイスキーロック」「蜂蜜ウイスキー水割り」などがあるという。
(完)
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