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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

命のしずく

南波 はんな

 

あめ玉に練り込まれる前は、蜂蜜の居場所はもっぱらガラスびんの中だった気がする。蜂蜜が大きなガラスびんの中で光っていた頃、小学生だった私は生死をさまよう大病をした。真白なカーテンと天井の部屋で、無事に手術から目覚めた。
 
 家族の看病や、生き続けられることの尊さを感じたのはずっと後になってからのことで、その時はごく当たり前に生きることを受け入れた。白湯を飲むのがやっとで、何も食べたくなかったが例外があった。蜂蜜とバナナだ。何が食べたいかと聞かれて、頭に浮かんだのがこの2つだったのは自分でも意外だった。1日1本のバナナと2さじの蜂蜜のおかげで、日を追うごとに体力が回復していった。
 
 ある日、蜂蜜には大きな物語が存在していることに気がついた。小さな蜂たちがせっせと集めた花の蜜を、私は毎日口に運んでいる。どこの花畑から運ばれていきたのだろう。病室の窓から外を眺める。『ファーブル昆虫記』を読む頃には、普通に食事がとれるようになっていた。
 
 太陽と大地の力を、今でもガラスびんの蜂蜜は伝えてくれる。蜂蜜を使った商品はずいぶんと豊富になった。蜂たちの減少は、人間の生命とも直結しているに違いない。命のしずくのお礼が言いたくて、何とか蜂と繋がっていたいと願いつつ、小さな庭で毎年花や野菜を育てている。

 

(完)

 

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