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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

ニホンミツバチと生きることを決めた隣人が教えてくれたこと

津南 優希

 

 夫の友人は変わり者が多い。お隣に住んでいたHさんもそのクチであった。
 
 川で漁をし、山に分け入り、キノコや山菜を採り、野菜を作る。とにかくなんでもやるHさんがその当時、最もハマっていたのが「養蜂」であった。
 彼は賢明な奥様の忠言にも耳を傾けず、何かに取り憑かれたように自宅敷地近くの山間で、毎日せっせとニホンミツバチの世話を焼いていた。
 
 Hさんはことあるごとにミツバチが如何に素晴らしい生き物なのかを語り、どのようにして蜂蜜を作り、採るのかを私達夫婦に話して聞かせた。
 それは春に起こる分蜂の話であったり、ミツバチの誘因の仕方であったり、百花蜜の意味であったり、とにかく全てがマニアック過ぎる内容であった。ミツロウの塊をいただいた時など、一体何に使おうかと私自身が頭を悩ませ、ワックスに加工するなどしたものだ。
 
 二年越しの努力が実り、自らの手で蜂蜜を採ることが出来たHさんは非常に満足げであった。ミツバチを育てて採蜜するという作業は、こんなにも過酷で難しく、情熱的なものなのだということを、彼は身をもって教えてくれた。
 
 夏のある日「これが効くんだ」と誇らしげに見せてくれたのは、一升瓶に浸かったオオスズメバチの焼酎漬けであった(ついでにその隣にはマムシの焼酎漬けもあった)。
 もはや何がどのあたりに効くのかは突っ込むまい。とにもかくにも、Hさんは可愛いミツバチの巣を襲う、にっくき敵をやっつけてご機嫌だったのである。
 しかしその後、ひとつの巣が数匹のスズメバチに壊滅させられたと知ったときには、大変な打ちひしがれようであった。
 
 Hさんのおかげで私達夫婦が得た物は多い。「養蜂」に関して言えば、少しの蜂蜜のお裾分けと、普通の主婦と会社員にあるまじきミツバチの生態への知識。
 そしてやはり、蜂蜜はプロの養蜂家に任せて買った方が良いという、経験則なのであった。

 

(完)

 

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