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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

ハニーハザード

衛幸

 

 心を失った元人間達が、蜂蜜を塗りたくったバリケードに体当たりする。しかし、それ以上動きはせず、そのまま絶命する。僕たちはその様子を、建物の二階から見ていた。
 ゾンビが現れてから2週間が経った。極秘で研究されていたらしいサンプルが、外に漏れだし、それを悪用したテロリストの手によって、A市はゾンビの街と化した。行政の対応も後手に回り、僕達は自分達の足だけで逃げるしかなかった。
 しかし、大型スーパーに立て込んだ者達も、食料は腐り、流れ込んだゾンビに殺されていった。最後の足掻きで唯一腐っていなかった食料の蜂蜜を、死なば諸共と、瓶ごと投げつけた。すると、ゾンビは悶え苦しみ、絶命した。
 一人生き残った僕は、蜂蜜をありたけ持ち出し、生存者を探しながら郊外へ逃げた。たどり着いた養蜂場では、僕より先に蜂蜜の有効性に気が付いた養蜂場のおじさんが、家族やスタッフと共にバリケードを築いていた。
「あのバリケード、いつまで持ちますかね」
 先に逃げのびていた晃さんに、僕は聞いた。
「さあ、でも長くは無いだろう。ゾンビの山が積みあがればそこをよじ登ってバリケードを越える。蜂蜜だって無限にあるわけじゃないんだ。いつかは超えるだろうね」
 バリケードを越えても、地面にまいた蜂蜜で多少の足止めは出来るかもしれないが、それもいつまで持つか分からない。
「出来たぞ!」
 養蜂場のスタッフの一人が、大慌てで部屋に飛び込んできた。
 
 
 市街地に、小さな女の子とその母親が、ゾンビに囲まれていた。逃げ場は無く、ただにじり寄る彼らに殺されるのを待つだけだった。
 しかし、何かが割れる音がして、あたりに薄いオレンジ色の霧が広がった。そして、それを吸ったゾンビ達は瞬く間に倒れていき、数十体いたゾンビは全て絶命した。
 僕達は親子に近づき、かまれたりした箇所が無いことを確認する。母親は泣きながら感謝し、これは何だと尋ねた。
「大丈夫。おいしい蜂蜜ですよ」

 

(完)

 

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