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蜂蜜エッセイ応募作品

一度もない

まるう

 

 私はインフルエンザに罹ったことが一度もない。友人にも疑われるが、本当である。この事実は何を意味しているのかといえば、私は他人より特別に運が良いということか、身体が丈夫であるということだろう。前者に関しては、まったく心当たりがない。そんなに運のよい人生ではない。しかし、後者に関しては、少しばかり心当たりがある。それは小学生の時のマヌカハニー事件である。
 私がマヌカハニーというものを知ったのは小学校の3年生の時だったと思う。母親が学校から帰ってきた私に向かって、スプーンを差し出してきた。「これ何?」そう問うた私に、母は、「マヌカハニーやで。体にええねん」と言った。私は聞いたことのない、なんか濁ったようにも見えるその液体を恐る恐る口にした。すると、今まで食べたことのない、癖のある何とも言えない味が広がった。なにこれ、おいしい。そう直感した。
 それからというものの、私は取りつかれたように一日に何回もそのはちみつをなめた。母親が見ていないときもなめていた。今も思うと、すっかりはまってしまっていたのだった。
 しかしそんなマヌカハニー生活も終わりを告げることとなった。母親がふと、そのマヌカハニーの瓶を見ると、たくさんあったはずのそれが、もうほとんどカラになってしまっていたのだ。もちろん犯人は私である。母親はかなり怒った。私は怒られるときまで知らなかったのである。マヌカハニーというものはなかなかの値段がするということを。
 結果的に、この時にマヌカハニーをしっかり摂取したからおそらく私の体は丈夫である。その代わりといっては何だが、それからというものの、ことあるごとにこの犯行が蒸し返され、20代の間も言われ続けて、苦しい時間を過ごしたが、30歳になりようやく、仕事でニュージーランドを訪れる機会を得た。これは逃す手はあるまいとして、私は母への謝罪のマヌカハニーを購入した。母は悪い笑顔で受け取ってくれた。

 

(完)

 

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