渡辺 碧水
【再生農地で蜜源確保(二)から続く】
「みつばち菜花クラブ」の人たちが、耕作放棄地を蜜源花畑に変えて、イチゴのハウス栽培のシーズン後に蜜蜂たちをハウス外に放ち、元気を取り戻してもらい、次のシーズンに備えることは、素晴らしい着想だった。
これは必須の条件でもあった。もし漫然と蜜蜂飼養に踏み切っていたとしたら、イチゴ栽培農業も失敗に終わっていたかもしれない。
手探り状態の同クラブにとって、幸運にも有効なアドバイスももらえた訪問団「NPOみつばち百科」が早 々と訪れている。
同行した養蜂の専門家からの助言は、近藤さんたちが蜜蜂に与えていた餌のことだった。餌には、花粉の代用にきな粉を蜂蜜で固めたものを、花蜜の代用として砂糖水を与えていた。
大豆はあまりよくないので、花粉の代用は市販のフィードビーに変えること。砂糖水は、湿度が高いハウス内では、蜜蜂が巣に持ち帰って蜂蜜にするための水分飛ばしが大変で、体力を消耗するので止めた方がいいと言われた。
良かれと思って与えていた砂糖水が、かえって負担になっていたことを知って、近藤さんたちがとても喜んだと訪問記は伝えている。
イチゴ栽培の終了後、蜜蜂をハウス外に放って、耕作放棄地などに植えた菜の花やひまわり、コスモスなどの蜜源植物から採蜜する。そして、元気な蜜蜂を次年度の母群に採用する。この循環が確立できれば、蜜蜂を授粉用に活用する園芸農家にとっては、革新的なことになる。
矢祭町のこの地域は、かつてはこんにゃくの生産地だったそうだ。中国からの輸入ものに押されて衰退した。同クラブの近藤さんは、三十二年前、イチゴ栽培に転換した。当時、作物転換の先駆けとなった。
この度の「再生農地でミツバチの蜜源確保を行う」事業も真っ先に取り組んだ。そのすごさを記しておくことが大切。イチゴ農家の新しい取り組みを、みんなで応援して進展させることも必要である。
それは、農家の方 々が美味しいイチゴを作り続けられるために、花園を元気に飛び交う蜜蜂たちのために、大地の恵みで花がたくさん咲き誇る自然豊かな地域にするために、である。
【再生農地で蜜源確保(四)へ続く】
(完)
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