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蜂蜜エッセイ応募作品

ティーンスプーン一杯分

ミズビアトリ

 

 私が一生に流せる涙はティーンスプーン一杯分。
 一生に一度のこの涙をあなたのために運ぶの。
 届きますように、届きますように。
 そう願いながら、遠く遠くの綺麗な花たちから、涙をもらう。
 遠く遠く綺麗なあなたの、最後の涙になれますように。
 あなたがもし、涙が流せないほどつらい思いをしたなら。
 私の涙を使ってほしい。
 あなたがもし、この涙を拒むなら。
 あなたが愛した人にあげてね。
 それが、私の一生のお願い。
 美味しく、美味しく、いただいて。
 私の涙は綺麗だったかな。
 私の涙は美味しかったかな。
 私の心は欲張りだ。
 そのくせ涙はティーンスプーン一杯分。
 たったそれだけ。
 たったそれだけのために。
 私生きてきた。
 さようなら、もう飛べない。
 どこの、誰かも知らない、あなたへ向けた、ラブレター。
 
 蜂蜜の味が嫌いだった。
 蜂蜜のあのトロトロとした感触も嫌いだった。
 でも、あの子の涙と同じ味がしたんだ。
 たった一度の。
 たった一回きりの。
 特別な涙だだったのかもしれないけど。
 あの子の涙と同じ味がしたんだ。
 その子の顔も、名前も知らないけど。
 好きになっていた。
 あの蜂蜜独特の味も。
 あの蜂蜜のトロトロとした感触も。
 好きになっていたんだ。
 ありがとう。
 僕はあの子のためになれたかな。
 僕は綺麗に泣けたかな。
 僕は
 あの子のあの、綺麗な涙。
 もう一度、見てみたかった。
 ティーンスプーンいっぱいの涙。

 

(完)

 

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