渡辺 碧水
【蜜蜂を補完するハエ登場(一)から続く】
医療用ハエの幼虫を生産供給する岡山市の株式会社ジャパン ・マゴット ・カンパニー(JMC)が生産し、「ハチ(ビー)のような働きをするハエ(フライ)」という意味で「ビーフライ」と名付け、二〇一一年に農家向けの出荷を始めた。
販売代理店は岐阜市の「アピ株式会社」が幼虫(ウジ虫)の状態で販売している。アピ(ラテン語で蜜蜂)は、養蜂業として創業し、現在、授粉用蜜蜂の販売と蜂蜜の健康補助食品を生産販売する会社である。
アピは、農家に出荷する蜜蜂にビーフライの案内パンフつけをつけて、生産性向上を宣伝。これが功を奏して、評判で徐 々に広まった。
ビーフライは現在、イチゴなどのハウス栽培で蜜蜂の代替として広く利用されており、二〇一九年には全国の導入農家は五百軒を超え、出荷数が約一千万匹に達するまでになっている。(以上は、二〇一七年六月五日の日本農業新聞、二〇一九年十月二十日の朝日新聞などによる)
ハエは、医療用無菌性ウジ虫(マゴット)の最新の育成技術を生かし、閉鎖環境で衛生的に生産されている。蜜蜂が苦手とする夏の高温期、冬の低温期、雨や曇りの日でも元気に活動する。
さらに、体重が蜜蜂よりも軽いので花を傷つけることがなく、きれいな形の果実ができる。人間を刺さないことも利点とされる。蜜蜂とビーフライを効率的に併用したハウス栽培では、収量が六倍になったという報告もあるという。
日本では医療用のヒロズキンバエを安定的に生産できる施設はほとんどなく、ビーフライの普及がマゴットセラピー用のハエの安定供給にもつながるため、医療業界からも大きな期待が寄せられている。
ウジ虫状態のビーフライはカンナ屑と一緒に透明パックに入れて配達され、加温パネルで三十度に温めると、二~三日で羽化が始まる。
本名のヒロズキンバエは、ハエ目クロバエ科キンバエ属ヒロズキンバエ種のことで、体長が五~九ミリで、タマムシと同じ金緑色のキンバエである。
【蜜蜂を補完するハエ登場(三)に続く】
(完)
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