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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂と蜜

のんき

 

 幼い頃、私は祖父母の家に1年ほど預けられていた。その頃私は中耳炎になりやすく、毎日の耳鼻科通いのためには、祖父母の家からの方が、病院に近かったためだ。
 その頃の私は、とにかく外遊びが大好きで、病院から帰ると、毎日近所の友達と遊んでいた。
 ある日、庭の茂みに蜂の巣を見つけた。初めて見る巣の形を不思議に思って眺めていると、近づきすぎたのだろう、私だけ、1匹の蜂に耳たぶを刺されてしまった。経験したことのない激しい、独特の痛みに、私は大声で泣き出した。驚いて飛んできた祖母が家に連れ帰り、私を慰めながらアンモニアを塗ってくれたっけ。かなり昔のことなので。今はアンモニアは塗らないらしい。
 乾燥した北風が強い冬も、外から帰り、荒れた唇が痛いと祖父に訴えると、蜂蜜を塗ってくれた。ヒリヒリが収まって落ち着くのだけど、美味しくてつい、唇を舐めてしまう。そして唇が乾く。また塗ってもらう。私は何度も、祖父に蜂蜜を塗ってもらった。蜂蜜を唇に塗ったまま舐めずにいるなんてできない。多分、今でも。
 今でも蜂を見かけると、幼い時を思い出す。距離感をちゃんとわかりさえすれば、蜂は怖くないということを、幼心に理解したし、警戒はするけれど、蜂を嫌いではない。
 蜂蜜は我が家では常備品だ。料理やお菓子、時 々贅沢に肌のお手入れに用いているのも、この時の祖父母の優しかった思い出とセットになっているからだ。
 甘い思い出を私にもたらしてくれた二人の、一点の曇りもない愛情を、私は忘れることはない。

 

(完)

 

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