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蜂蜜エッセイ応募作品

とっておき

大橋 麟太郎

 

 子どものころ、僕が風邪にかかると母は必ず蜂蜜レモンを作ってくれた。輪切りにしたレモンに、これでもかというくらい蜂蜜をかけてタッパーに入れておくだけの簡単なレシピ。緊急時になると毎回重宝されるせいか、我が家での蜂蜜の立ち位置は「とっておき」だった。
 
 それから十年ほどが経って、僕は実家を出て働き始めた。
 
 一人暮らしを始めて半年ぐらい経った頃だろうか、ある朝、目覚めると声がまったく出なくなっていた。仕事柄大きな声を出すことが多くあり、喉がその酷使に耐え切れなくなったのか、あるいはストレスか。声が出なくなっても仕事は当然続く。一刻も早く治さなければと思い、近くの薬局でとりあえず喉に効く漢方をいくつか買った。職場の先輩に「お湯に溶かしてゆっくり時間をかけて飲んだ方がいい」というアドバイスをもらったので、その通りにした。嫌になるような苦い薬を飲みながら、ふと子供の頃の記憶が頭をよぎった。すぐさま蜂蜜を買いに行き、漢方を溶かしたお湯の中に、これでもかと言うほど蜂蜜をいれた。ゆっくり飲む。口の中に広がる蜂蜜の甘さに癒された。結局、喉の調子は数日で治ったが、蜂蜜の買い置きは一人暮らしの部屋で常に鎮座している。
 
 身体が苦しいとき、心が苦しいとき、やっぱり蜂蜜は「とっておき」だった。

 

(完)

 

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