渡辺 碧水
【蜜蜂不足の国家的認識と対策(一)から続く】
最近において、花粉交配(授粉)用蜜蜂の不足問題が国家的に取り上げられ、活動が開始されたのは、二〇〇九年(平成二十一年)六月十五日に農林水産省生産局開催の「第一回ミツバチの不足問題に関する有識者会議」(委員十二人)とみることができる。
この会議を立ち上げるに至った経緯の概要は次のとおりである。
二〇〇七年秋、オーストラリアから輸入蜜蜂(女王蜂)にノゼマ病が検疫で検出されたため、十一月以降、業者の自粛で輸入が途絶えた。
二〇〇八年六月、同局園芸課長通知「園芸作物生産における花粉交配用ミツバチの利用について」が出された。(供給確認等を行うよう指導)
二〇〇八年夏、北海道における蜜蜂の大量死が、また同年秋、業者からの蜜蜂供給不足が報道された。(日本農業新聞)
二〇〇九年二月、同局生産流通振興課長通知「花粉交配用ミツバチの供給不足に対する代替技術の利用について」が出された。(長期利用に向けた飼養管理、クロマルハナバチ利用の検討)
二〇〇九年四月三日、農水大臣記者会見(産地における蜜蜂不足状況の緊急調査の指示、養蜂業界への依頼、新たなダニ駆除用の動物用医薬品の利用普及など)。同十日、農水大臣記者会見(二十一都県で蜜蜂が不足との報告、不足の影響回避のために人工受粉等の代替措置等の取り組みをしているがコスト増の懸念、蜜蜂価格の上昇など)。
二〇〇九年四月十七日、調査結果「花粉交配用ミツバチの不足に伴う産地影響状況調査について」を公表。(二十都道府県から影響が認められるとの報告。このうちの十六都道府県で生産コストの増加、三都道府県で収量の減少、五都道府県で奇形イチゴの発生)
二〇〇九年五月一日、蜜蜂の増殖支援対策を公表。(女王蜂及び蜂群増殖に必要な資機材の導入、蜜源植物の作付け、生産者と養蜂家の連携強化などを支援)
二〇〇九年五月十三日、蜜蜂減少に関する緊急調査研究を公募。同六月一日、同研究の課題「我が国養蜂群の健全性の現状調査と健康状態に影響する要因の解析」を決定。
【蜜蜂不足の国家的認識と対策(三)へ続く】
(完)
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