渡辺 碧水
粘り気のある蜂蜜や水飴などを容器からすくうときに使う専用の食器に「ハニーディッパー」がある。新聞発表によると、二〇一九年七月末、新開発のスプーン型蜂蜜ディッパーが発売された。
液状のものを「すくう」食器として、どこの家庭でもスプーンを備えているだろう。落としても壊れない、劣化しにくい、安価で買えるなどの理由で、金属製のものが主流を占めている。
蜂蜜も液状だから、すくうこと自体は既に所持するスプーンでできる。蜂蜜を頻繁に食べない場合は、今ある金属製スプーンを一時的に使用するのでもいいだろう。
だが、金属製は化学変化を起こし、蜂蜜を劣化 ・変質させ、蜂蜜の栄養素を壊してしまうおそれがある。頻繁に食べる家庭では、木製、陶器製、樹脂製、プラスチック製、いずれかのスプーンも備えておき、蜂蜜にはそれを使うようにしたいものである。
普通のスプーンは、垂れた蜂蜜が糸を引きやすく、容器や周囲を汚しやすい難点がある。その対応として、蜂蜜専用のものが開発されている。
大別して、先端が渦巻き状になっている「ハニーディッパー」と、実用的形状になっている「蜂蜜専用スプーン」がある。それぞれに独創性やデザイン性を工夫したものが多数ある。
これらの蜂蜜専用の要件は、適量をすくいやすい、垂れる糸が切れやすい、垂れて汚すのを防げる、洗いやすいなどである。
新開発では、既存のものを上回る使い勝手のよいものが考案されたのだろうか。家庭用品メーカー開発の新製品は、飽和ポリエステル樹脂による独自な形状の蜂蜜専用スプーン。
スプーン部分が凹凸のないなめらかな形になっていて、瓶に浸すと蜂蜜がまとわりついてたっぷりすくえる。
引き上げて横にするとほぼ左右対称の形になり、回すと蜂蜜がきれいに切れる。切れずに垂れてしまうストレスを解消した。
先端を細くし、瓶内の隅まで届きやすく、結晶化した蜂蜜を砕きやすくなった。
トーストなどにそのまま塗るほか、スプーン部分は口当たりのよい質感なので、蜂蜜を直接味わうのにも適している。
蜂蜜愛好者の楽しみは一層増すだろう。
(完)
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