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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜が嫌い

久保衣織

 

 蜂蜜が嫌いだ。蜂蜜独特なにおいが臭くて嫌いだ。
 初めて蜂蜜を食べたのは友人がハワイに行ったお土産として買ってきてくれたものだった。かわいいクマの小さいプラスチック容器に入っていた。母から蜂蜜は高いから少しずつ食べるのよ、と言われたためきっとその希少性はおいしさからだろうと思っていた。いざ食べてみるとなんだか臭い。その臭さで嫌いになった。その後数年間はちみつを嫌って口にしなかった。後 々知ったのだが、蜂蜜には種類があって臭くないものもあるようだ。
 しかし、高校三年生になって久しぶりに口にした。きっかけは父にステージ4の癌が見つかったことだ。食事面から支えることにした母と私はいろいろな食事療法の本を読み漁った。今までの肉中心から野菜中心の食生活に変えるなどの工夫を試みたものの、父は偏食持ちで、思うようには進まなかった。
 たくさんある本の中で必ずといっていいほどよく登場してきていたのが蜂蜜だった。少量の蜂蜜で最大70 %も癌細胞の成長を阻止することができるらしい。
 食後のデザートにとヨーグルトにかけて出してみるもののもちろん父は食べない。どうやら父も匂いが苦手らしい。そこでおいしそうに目の前で食べれば食べてくれるのではないかと思い、何年も苦手意識を持ち続けていたはちみつを私も食べてみることにした。
 臭いのではないかと恐る恐る食べてみると、なんとおいしい。臭くなく、甘ったるくなく、なんとも上品な香りであった。
 それからというもの父よりも私のほうが蜂蜜を気に入って食べるようになってしまった。なんとも滑稽だ。蜂蜜には癌予防効果もあるので癌遺伝子を持っている身としてはいいのかもしれない。
 父にもぜひ食べてほしいので砂糖の代わりに使っている。無論父には内緒なのだが。
 父は快方に向かっているのも私が元気なのもきっと蜂蜜のおかげ。

 

(完)

 

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