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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

誕生の姿を変える養蜂技

渡辺 碧水

 

 「そこまでやるの!」。以前、蜂の子サプリをオス蜂や女王蜂候補で生産すると聞いて、驚いたことがあった。
 蜜蜂誕生の自然な姿を追ってみる。
 女王蜂が行う「産卵」は、一つの巣房に一つの卵をせっせと産んでいく。大きさは五ミリ程度、一日一~二千個。人間でいえば一夏中、毎日二十人の子供を産み続けるようなものだとか。
 オス ・メスの産み分けは、体(貯精嚢)に蓄えた精子の使用調整によって行われる。精子を使わない無精卵ではオスが生まれ、使う有精卵ではメスが生まれる。そして、精子を使うか使わないかは巣房の大きさによって決まる。
 巣房に産みつける際は世話係の働き蜂(メス)が活躍する。女王蜂は産卵時、巣房に下半身の先端を差し入れる。大き目の巣房(直径約五ミリ半)には腰を曲げないで産みつけ、小さ目の巣房(直径約四ミリ半)には腰を曲げるようにして産みつける。
 この際、付き添い役の働き蜂は女王が巣房へ尾部を正確に差し入れ得るように支援する。想像すれば「オーライ、オーライ、ストーップ!」という感じであろうか。精子の使用調整ができる女王蜂の体の仕組みは非常に精度が高いに違いない。
 大きな巣房にはオスになる無精卵を産み、小さな巣房にはメスになる有精卵を産み入れる。羽化前の巣房の上蓋の状態でも見分けがつく。蓋が膨らんでいるのが体の大きいオスで、平たいのが体の小さいメスである。
 このように、群れの成員を決定する重要なポイントは巣房の大きさであり、それを作る作業に従事しているのは働き蜂であるから、女王蜂といっても結局は働き蜂に調節されているわけである。つまり、子孫の性を決定しているのは女王蜂ではなく、蜂の集団であって、女王蜂は単なる実行器官である。
 人間の欲望技がこの神秘に手をつけた。
 蜂の子育て過程に人が介入して、働き蜂になるはずの幼虫を女王蜂候補に仕立て、人工巣房を使って特別扱いで育てさせる。複数誕生の殺し合いを免れる成虫は、すべて女王蜂として生き延びる。高値で五十八か国に輸出される。
 二〇一二年制作、ドキュメンタリー洋画『みつばちの大地』は、小匙を使うその技を開示して見せた。

 

(完)

 

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