渡辺 碧水
二〇一九年五月中旬から公開されている蜂蜜の動画が話題になっている。
無重力(微小重力状態)の空間で蜂蜜の状態はどうなるかというもの。一分程度の短い動画だが、国際宇宙ステーションに滞在するカナダ人宇宙飛行士がいろいろ試みて楽しませてくれる。
蜂蜜は奇妙というほどでもないが面白い動きをする。
蜂蜜の入った容器を横にして持ち、蓋を回してゆっくりと開け、開きを横に伸ばすと、蓋にくっついたままグニョーっと粘りを保ってアメゴム状に蜂蜜が太く伸びる。距離を大きくするにつれて、少しずつ中央の部分は細くなる。
そのまま手を離すと、同じ状態で宙に浮く。
容器と蓋を持って上下にユラユラ揺らすと、蜂蜜は垂れ落ちることなく、同じ状態を保ってゆっくり揺れる。
横に開いた状態で蓋を回転させると、ゴムひもをねじったと同様に、ねじれた跡を残しながら同じ状態を保つ。
容器と蓋の距離を縮めて閉めると、蜂蜜もゴムが丸まって縮まるように元の状態に戻る。
飛行士は蜂蜜を食べるのではなく、自らも状態の変化を楽しんでいるように見える。宇宙の微小重力環境の下で、粘性のある液体はどう変わるかを実験して見せてくれたのであろう。
ただ、これだけでは、重力のある地上とどの程度差があるかははっきりしない。使われていた蜂蜜は、たとえると、ピーナツバターのような色合いと状態をしていた。
カナダ産の蜂蜜を持参して実施した実験だろうが、元 々そのような様相の蜂蜜だったのか、透明感のある赤褐色のトロリ粘性の蜂蜜だったのかがわからない。
もしも後者であれば、透明性や色合いや表面張力や粘性などが変化したとも判断される。
だが、粘り気のあるところを演じて見せてくれたようなので、きっと粘性が変化し強まることを証明した実験だったのであろう。
蜂蜜などのニュートン液体は、重力が小さくなるにつれて粘度は強まる、つまり、重力と粘度には負の相関がみられる、ということなのであろうか。
宇宙での蜂蜜味の変化も気になるところである。
(完)
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