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「虻蜂取らず」の意味(一)

渡辺 碧水

 

 古くからよく知られている諺に「虻蜂取らず(アブハチとらず)」がある。短文で何となく語呂がよく、一度聞くと頭に残りやすい。語源や由来は不明で、人の行動から生まれた教えの一つだと説明される。
 明快なようで、表現にこだわってみると、知らないと「何を言っているの?」となりそうで、必ずしも容易な理解とはならない。
 意味を知らない人に聞くと、文字通り「虻、蜂取らず」や「虻は蜂を取らず」と理解し、「虻は同じ虫であるから蜂を取らない」「虻は蜂が恐ろしいから近づかない」などの解釈をするそうだ。
 「虻蜂取らず」は西洋の諺「二兎を追う者一兎をも得ず」と同じ意味を持つとされる。この諺の意味するところは誰にもわかりやすい。
 よく体験することを言い表している。元は猟師の話だが、二羽(匹)の兎(ウサギ)を同時に追いかけて、両方を捕らえようとすると(それぞれ方向を変えてばらばらに逃げられてしまい)二羽ともつかまえられず、失敗してしまう。
 この諺は一般化すれば、「欲張り過ぎるな」「やり始めたことを途中で変えるな」「物事を始めるにあたっては、準備と決断が必要だ、目的や方向を明確に一つに絞ったほうがよい」という教えや戒めである。
 「虻蜂取らず」は、元の表現は「虻も取らず蜂も取らず」であったのが簡略化されたそうだ。意味は「あれもこれもと狙って、一物も得られないこと」「欲を深くして失敗すること」などとされる。
 「虻と蜂」が登場する理由は、一般的に「虻」も「蜂」も生活の中でなじみの深い昆虫だからだそうだ。
 身近な昆虫を例示するのであれば、「蝶と蠅(チョウとハエ)」でもよかったのではないかと思う人もいるだろう。「虻と蜂」とされたのは、「小さいが攻撃力のあるものの代表」として採用され、熟語「虻蜂」の表現もあり、「容易には捕まえ得ない(手ごわい、困難な)ものは、手堅く対処しなさい(取り組みなさい)」という教訓も暗に含められたとみなされる。
 [「虻蜂取らず」の意味(二)へ続く]

 

(完)

 

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