渡辺 碧水
国内の養蜂場が、甘露蜂蜜(以下、甘露)にマヌカ蜂蜜(以下、マヌカ)と同等以上の抗菌効果があることを実証的に確認し、マヌカに代わって、甘露が新たな健康素材としてブームになると予測した、と前の投稿で書いた。
そして、三年半が経過し、この間に国内では、確かな希望の灯がともったとも述べた。本稿で、その理由や根拠を示したい。
端的に言えば、様相が変わったと、私は見なすのである。
これまではマヌカも甘露も、業者の宣伝や販売は外国産の貴重な高級品という観点に重きが置かれていた。日本では生産されない(採取できない)特別な蜂蜜製品、誰もがそう信じて疑わなかった。
神話に疑問符が付いたとも、神話がくつがえったとも言えることが起きている。
例えば、二〇一九年三月十二日、読売新聞は「小笠原ハチミツ、正体は『甘露』」の見出しで、小笠原諸島で生産の黒色の蜂蜜は甘露だったとの記事を載せている。甘露に似ていると気付いた元大学教授が「菓子 ・食品新素材技術センター」に検査を依頼した結果、国際規格の甘露の基準に適合することを確認した。
科学的分析の結果、国内養蜂の発祥地、小笠原諸島の今の蜂蜜は甘露だと判明したのである。
また、蜂蜜の日本規格「はちみつ類の表示に関する公正競争規約」は二〇一九年五月末日の改正で、正式な対象商品として甘露を新たに追加した。グッドタイミングで、日本産の甘露もあり得ると規定したのである。
甘い液体なら予想外の物も蜜源にして、蜜蜂が蜂蜜を作ることは、数年前に起きた外国の驚きの事例で確認済みである。
私の住む北海道では各種の樹液が採れる。現に、白樺の樹液が清涼飲料水として販売されている。世界初の甘い樹液ビールの生産も企画されている。花蜜源の枯渇期など、これらの甘い樹液を蜜源にするのは可能だとみる。
北海道の豊富な山林の樹液を蜜源とする甘露が生産され、ブームになるかもしれない。私が夢見た「確かな希望の灯」とはこれである。
(完)
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