渡辺 碧水
それほど大きな話題としてマスコミで取り上げられなかったので、知らない人か多いかもしれない。
三年半前の二〇一六年四月下旬、「新たなはちみつブーム到来か 甘露蜂蜜にマヌカ蜂蜜と同等以上の抗菌効果を確認」との文書が報道関係者に送られた。岡山県に本社を置く山田養蜂場が発信元である。
「新たなはちみつブーム到来か」とは、今後は、甘露蜂蜜(以下、甘露)が注目され、ブームになる(人気が高まる)ことが予測される、というのである。
最近のブームはマヌカ蜂蜜(以下、マヌカ)との認識に立つ。ニュージーランドなどの原生植物から採れ、高い抗菌性を有するマヌカは健康食品として注目を浴びている。例えば、二、三年前に比べて、大手検索サイトの検索数が約四倍に、同養蜂場の売り上げが二 ・五倍以上に増えているなどが、その根拠。
甘露は、ヨーロッパでは高級蜂蜜「森の蜜」として昔から重宝されており、木の樹液や植物に寄生する昆虫が出す分泌液を蜜蜂が集めたもの。これも抗菌性があると言われているのに、マヌカほど注目を浴びていない。
そこで、同養蜂場は、新たに考案した方法を用いて、同じ基準で甘露とマヌカの抗菌性を比較してみた。その結果、甘露はマヌカと同等以上の抗菌性を持つことがわかった。
この結果から、甘露が、マヌカに続いて新たな健康素材としてブームになる、と同養蜂場は予測した。また、日本では甘露は馴染みが薄いが、今後マヌカに続く、抗菌力の高い食品として注目を浴びる、と期待されるという。
さて、三年半後の今、甘露はどうであろうか。市場では今のところ、予測されたほど人気が高まったとも、期待されたほど注目を浴びるようになったとも、まだ言えないのではなかろうか。甘露の浸透が不十分なのだろう。
ただし、甘露の輸入は着実に増えているから、希少で高価なマヌカを販売実績で既に超えたかもしれない。
この間、国内では、別に述べるように、確かな希望の灯がともったと言える。
(完)
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