渡辺 碧水
二〇一九年九月三十日のテレビ番組『世界!ニッポン行きたい人応援団』の中で、北西アフリカのモロッコでの取材の様子が放映された。
エッサウィラという港町では、ドーナツ屋が紹介された。何と、店内には蜂が飛び交い、商品のドーナツには何匹もの蜂が群がっていた。「モロッコにはどこにも蜂がいる。習慣では、蜂もたからないようなお菓子はマズイとされている」との説明があった。
訪れたことのある人の話では、街中には「お菓子&ケーキ屋」が沢山あり、蜂蜜たっぷりの超甘菓子が多数置かれているので、商品ケースの中では何匹もの蜂がお菓子に群がっているそうだ。「蜂も群がるほど蜂蜜たっぷりのおいしいケーキ」の証明になっている。「ものは考えよう」というわけである。
時期にもよるらしいが、どこに行っても蜂だらけで、特に国民的飲み物のミントティーを飲もうとすると、ほのかな甘い香りに誘われて沢山寄ってきて全く困っちゃうそうだ。グラスに皿を逆さにしてかぶせるのが日常的対策。
そんな日常生活を思い浮かべると、私は子どものころを思い出す。昔、不衛生な生活を余儀なくされた日本では、今ではほとんど見かけないハエがどこにでも沢山いて、よく食べ物に寄り着き、追い払うのに躍起になったものである。
「所変われば品変わる」で、モロッコでは日常、ハエはほとんど見かけないそうだ。
蜂とハエとではイメージが違うが、不快感は似たり寄ったりだろう。蜂がたかった食べ物を口にするのは御免だし、食べている所に蜂がしつこく寄ってくるのもうっとうしい。
日本人にとっては、あまり刺さないおとなしい蜂だと言われても、不衛生な感じがどうしてもする。もっとも、地元住民にとっては「住めば都」で、大して気にならないようだ。
それほどに街中で多数生息している蜂だが、どうやら蜂は蜂でも蜜蜂ではなさそうだ。もし蜜蜂だとすれば、蜜源が甘いお菓子やティーだとなって、因果逆転か循環現象かだ。
モロッコの蜜蜂と蜂蜜の実情を知りたい。
(完)
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