林成美
蜂蜜はいつも優しくそばにいてくれた。
高校を卒業して、大学は東京に通っている。本当は実家を離れたくなかった。けれどどうしても勉強したい事をやるには上京という手しかなかった。ホームシックで、勉強もキツくて、都心の電車が嫌いで嫌いで、最初の頃わたしは何もかもを後悔しかけた。2時間かけて親類の家に戻ると、課題に追われる生活。気が休まる暇もなかった。今思えば慣れていなかったからだろうけれど。なんとかその日にやらなければならないことを終えると、わたしはいつも牛乳の中にたっぷりの蜂蜜を入れてレンジで温めてそれを飲んでいた。疲れた身体に蜂蜜の甘さはあまりにも優しくじわじわと広がっていった。その甘やかな時間のおかげでわたしはあの日 々を乗り越えられたのかもしれない。今は生活にも慣れ、もうすぐ卒業が見えてきたけれど、相変わらず蜂蜜を入れたホットミルクは毎日欠かさず飲んでいる。
(完)
蜂蜜エッセイ一覧 =>
蜂蜜エッセイ
応募要項 =>
Copyright (C) 2011-2024 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.