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蜂蜜エッセイ応募作品

飛び交う蜜蜂が減っている

渡辺 碧水

 

 北海道新聞の夕刊に「陽だまり」という随筆ふうの投稿欄がある。二〇一九年九月十二日掲載の「うれしいぜいたく」の中に、次の一文があった。
 「ところで、飛来する蜂の数が年 々減っているのが気になる」
 さりげなく挿入された、文脈では不要と思われる文だけに、日頃よほど気にしておられることなのではないかと受け止め、私の記憶にこの記述が印象深く残った。七十四歳の男性投稿者の住所は都市から遠く離れた農村の町であった。
 私も、大都市に住み、近くの遊歩道「陽だまりロード」を散歩しながら、何度も「花を訪れる蜜蜂を見かけなくなったなー」と思い、気にしていた。
 この数年、新聞等で「蜜蜂が絶滅の危機にある」という話題が多く取り上げられている。そのことが頭にあって、「やはりそうか」と思いを強くしたのかもしれない。
 事実だとすれば、いよいよ私たちの暮らしにも大きく影響を及ぼしそうな気がする。「蜜蜂が絶滅すると人類も滅亡する」という恐ろしい予言もある。大げさな言い方だとしても、誰もが気になる警告だ。
 蜜蜂がいなくなると、農作物の生産に大きな影響がでる。生産力が極端に落ち、世界的な食料危機を引き起こしてしまう可能性がある。
 先日も、新聞を読んでいて、さらっと一瞥する広告欄で、一文に目が止まった。「ミツバチの命が売られる」(農薬規制緩和)とあった。
 センセーショナルな書名の『日本が売られる』という本の中でだが、蜜蜂が方向感覚を失って失踪したり、大量死したりする原因になっているとみられる某農薬が、他国での使用禁止の流れに反して、日本では蜜蜂の命と引き換えに使用が広がっている、と指摘している。
 この本の記述に対しては、学術研究ではこの薬剤の生態系への影響はまだ明確になっていない、との批判もある。だが、蜜蜂が鋭い感覚と高い感受性によって、影響の大きさを暗示して早 々と警告してくれているようにも思える。
 私たちは、蜜蜂が示してくれている暗示的予言に鈍感であってはならない。

 

(完)

 

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