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蜂蜜エッセイ応募作品

縁は異なもの味なもの

渡辺 碧水

 

 「縁は異なもの味なもの」という諺がある。本来の意味に加えて、現代では「ご縁の不思議と面白さは男女の仲に限ったことではなく、いろいろな事柄についていえる」との趣旨でも使うことがあるようだ。
 その意味での体験談を一つ。
 実際の文は「蜂蜜エッセイ」のホームページで読んでいただくことにして省略するが、二〇一七年の第一回募集で、私の作品『トッちゃんだけの蜂蜜飴』が掲載された。
 同年九月、これが「はちみつ家のブログ」で紹介され、七十数年も前の話に「そんなふうに蜂蜜飴を食べていたとは! 蜂蜜も今は高いので、ものすごく贅沢な食べ方ですね」との講評をいただいた。
 二年後、新聞の声欄で「ぜいたく」のテーマ募集があったので、このことを書いて投稿した(これは実名で)ところ、二〇一九年七月に掲載された。
 ここで「ご縁の不思議さ」が起った。エッセイに登場した叔父夫婦には、四人の子供(つまり、いとこ)がいて、私より四歳上と一歳上の女性もいた。お二人は健在で、北海道内に住んでいて、同じ新聞を購読していた。偶然、共に私の投稿を見つけた。
 早速「懐かしいね、会いたいね」との連絡をいただいた。長寿の叔父夫婦が安らかに昇天して以来ご無沙汰していて、ここ二十年ほどの間、お二人とはお会いしていなかった。
 全員が八十歳を超えた三人は、子供たちの調整の世話を得て、九月に入り再会し、談笑のひとときが実現した。家族を含めて、積もる話や子供のころの思い出話で大いに盛り上がった。
 印象深く私の記憶に残った「トッちゃんだけ!にだよ」は、実は、気さくな叔母が子供たち皆に蜂蜜水飴をプレゼントする時に添えた魔法の甘い名セリフだったらしい。
 作るほうの実体験もあるいとこの話では、蜂蜜を水飴ふうに練り固めるには火加減調節などの絶妙なコツがあり、逸品に仕上げる叔母の腕前はなかなかだったそうだ。
 というわけで、高齢者三人を喜びの再会に導いた諺の中の「味なもの」とは「蜂蜜飴」だったのである。

 

(完)

 

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