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蜂蜜エッセイ応募作品

「蜂蜜色」は渡来の色?

渡辺 碧水

 

 「蜂蜜色」の由来や根拠について、以前に疑問を提示した。ここでは蜂蜜色の使われ方から探ってみよう。
 「蜂蜜色の蜂蜜」という表現では、言葉の繰り返しにすぎなく、わかるようで何もわからない。だから、蜂蜜には蜂蜜色は使われない。
 一方、「蜂蜜色の○○」という形容の例には多く出合う。
 具体的な実際例を挙げてみる。二〇一二年七~八月に開催されたロンドンオリンピック時の話。
 観戦後にぜひ訪問をと紹介された場所の一つに通称「蜂蜜色の村」がある。ロンドンに近いコッツウォルズ地方で、広大な丘陵地帯に中世の小さな村がいくつもほぼ当時の姿で点在している。
 この地方の村落が「蜂蜜色の村」と言われるのは、建物が床から屋根まで「蜂蜜色」だからだ。
 家を建てる石材は昔からその地方で採掘。コッツウォルズストーンと呼ばれる天然の石灰岩で、別名を「ハニーストーン」と言われるほどにベージュ系カラーで温かい色合いを帯びている。
 それらが夕日に照らされる田園の景観は、まさにおとぎの世界に迷い込んだような可愛らしさ。イギリスの原風景が残る「イギリスで最も美しい村」と絶賛されている。
 類似の形容はほかにも多く見られる。地中海に浮かぶ小さな島国マルタ共和国の首都ヴァレッタもその一つ。歴史的建造物が多く残る世界遺産の町だが、「蜂蜜色の石」とよばれるライムストーン(石灰岩)で造られた建物が町全体をエキゾチックなムードに。砂漠の中の町は蜂蜜色(砂の色)に埋もれている感があるという。
 こうした例からうかがえることは、外国では「ハニー色」という表現は古くから存在し、その色合いも日本と同様に淡い赤黄色や黄金色に近似している。どうも蜂蜜色は外国から渡来した色と見た方が適切のような気がする。
 身近なものでは「蜂蜜色の肌、髪、月」などと、抽象的なものでは「蜂蜜色の夏、秘密、夢」などと、表現された例もある。潤い、ゆとり、穏やか、温かなど、癒し系効果を包む言葉として多用されているようだ。

 

(完)

 

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