渡辺 碧水
「蜂蜜色」の由来や根拠は? 以前に疑問を提示した。実際の蜂蜜の色からも探ってみた。
蜂蜜の色はいろいろ。厳密には、千差万別と言える。同種の蜜源植物から集めても、場所、採蜜法、季節、日照、寒暖などの状況によって、実際は微妙に異なるからである。
そのことを前提にしながらも、理解しやすくするために、大ざっぱな分類化が試みられている。一例を挙げると、淡黄色、赤黄(黄金)色、赤褐色、黒褐色の四種類に大別される。これに濃淡が加味され多様化する。
このような色合いの違いには、蜜源植物の花の色素やミネラルの量が主に関係する。色合いは花の種類に関係し、その濃さはミネラル分に関係する。概して濃いほどミネラル分や鉄分が高いとされる。
四分類色の蜜源植物例(単花蜜)を挙げると、次のようになる。
淡黄色…アカシア、レンゲ、ナタネ、クローバー、トチノキ、シナノキ、ハゼ
赤黄色…果樹系(ミカン、リンゴなど)、樹木系、草花系などの植物
赤褐色…ハーブ系、クリ、ゴマ、アベリア、ブルーベリー、コーヒー、サクランボ
黒褐色…ソバ、(コーヒー)
色合いの相違は味わいや香りにも関係し、色が薄い蜂蜜は軽い風味でマイルドな味。一般的に食べやすい。薄い色は風味も香りも淡白だが、濃い色ほどそれぞれが強くなり、特徴が個性的になる。独特な癖がある分、人によって好き嫌いが分かれる。
色の濃淡と栄養価の高低とはあまり関係がない。それぞれに十分な栄養が含まれている。赤黄色が美しい果樹系の蜂蜜では、透明感のあるものほど質が高いとされている。
国内で蜜源となっている植栽面積は、おおよそミカン三十 %、リンゴ二十 %、アカシア五 %、レンゲ五 %などの順である。ただし、果樹の場合、花粉交配が蜜蜂導入の主目的で、花蜜採集は副産物である。
単純判断で、蜜源植物の代表格が果樹系であり、蜂蜜が淡い赤黄色(黄金色)とイメージされていることとは矛盾しない。だが、蜂蜜色は国際的に共通する色だけに、別な意味合いがあると思われる。
(完)
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