渡辺 碧水
英国に「蜂蜜の歴史は人類の歴史」という古い諺があるように、人間は長い間、蜂蜜を日常生活の暮らしに取り入れてきた。
現代も引き続き人気が高い。蜂蜜は長期保存ができ、食用や薬用など多様な用途の優等生である。実に重宝だ。
蜂蜜の日本規格とも言える「はちみつ類の表示に関する公正競争規約」の改正が、公正取引委員会及び消費者庁の認定 ・承認を得て、二〇一九年(令和元年)五月末日に施行された。(全国はちみつ公正取引協議会が運用)
この規約で「はちみつ類」と規定される対象商品の変更がなされ、精製はちみつ、加糖はちみつのほか、はちみつにローヤルゼリー等を添加した商品が対象外となり、「甘露はちみつ」が追加された。
五十年ほどの歴史をもつ規約は、九回目の改正でついに対象商品を変更した。
改めて、定義を確認してみよう。
「はちみつ類」は「はちみつ、甘露はちみつ、巣はちみつ及び巣はちみつ入りはちみつ」の四種類となった。
従前からの「はちみつ」は「みつばちが植物の花みつを採集し、巣房に貯え熟成した天然の甘味物質」と定義。これは以前と同じ。(性状と組成基準は別表で規定)
以前は、はちみつの加工品(精製はちみつ、加糖はちみつ)を含めて「はちみつ類」としていたので、消費者にとって区別が分かりづらかった。この点は改善されたといえる。
なお、日本養蜂協会は「国産天然はちみつ」の規格を定め、「その全てを国内において、みつばちの巣箱より採蜜し、濾過しただけの人工を加えないもの」と定義し、十項目の具体的規格も定めている。
これらによって、日本の規格も「国際(コーデックス)規格」とほぼ同じ内容となった。
消費者にとって、わかりやすくなったことは大変喜ばしい。
新加入の「甘露はちみつ」は「みつばちが植物の分泌物又は同分泌物を吸った他の昆虫の排出物を採集し、巣房に貯え熟成した天然の甘味物質」と定義。(性状と組成基準は別表で規定)
蜂蜜は、従来の「花蜜」に「甘露蜜」が加わった。生活の愉しみが増えると期待したい。
ところで、国産の「甘露はちみつ」は存在するのだろうか。
(完)
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