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蜂蜜エッセイ応募作品

立つ蜂、跡に蜜を残す

渡辺 碧水

 

 二〇一九年四月、蜜蜂騒動二件の話題を紹介した「養蜂家が見せたプロの技」が当欄で掲載された。その続編として、報道の要点をまとめた当稿も併せて読んでいただければ幸いである。
 今度は六月中旬、北九州市の某寺の敷地内の墓にできた日本蜜蜂の巣をめぐる話題。SNS(インターネットの会員制交流の場)で話題が広がった。
 発端は、お墓参りをしていた人から「隣のお墓で飛ぶ蜂を駆除してほしい」との電話がお寺に入った。住職が調べてみると、確かに寺の所有地内にある墓に巣があり、蜜蜂の出入りも活発だった。所有者不明の古い墓で、寺には管理責任のないものだったそうだ。
 それでも、敷地内の騒動を静めようと、住職は殺虫剤を手に墓に向かった。だが、とても簡単に駆除できるほどの相手ではなかった。
 一時は途方に暮れたが、思い直して、若い住職は得意のSNSのフェィスブックに様子を書いて発信したところ、早速、有効なアドバイスの書き込みがあった。
 やりとりの中で、益虫の蜜蜂を殺さないで移動させる選択肢があることや、それを請け負ってくれる養蜂家がいることを知った。
 そこで、プロの養蜂家に依頼し、墓の石材店などの協力も得て、納骨室を掘り起こして、大きな巣であることを確認。この経過を住職が写真入りでツイッターに投稿したところ、大変な反響があった。
 希少な日本蜜蜂を巣ごとそっくり移動し、存命させようとする考えに対する賛同と称賛の声が殺到した。
 SNSの連携が理想的になされたことによって、正しい知識が共有され、処理の方向が殺生から救済へ大きく変更されたからである。
 移動計画の実行の方はと言えば、その日は、平穏な移動のカギになる女王蜂を特定できなかったので、慎重を期して断念した。
 翌日現場に行ってみると、蜂は一匹もいなくなっていた。女王蜂を中心に素早い判断がなされたのであろう。蜂たちは墓を明け渡し早 々と群ごと移動していた。
 人間の配慮に感謝してか忖度してか、大量の貴重な蜜を残して新天地に旅立っていた。

 

(完)

 

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