渡辺 碧水
蜂蜜の人気は高まるばかりである。あちこちで売られている。
そんな中で、気になるのが蜂蜜の表示や説明文に使われる用語(商品の品質や製法を表す言葉)である。
純粋、完熟、熟成、天然、有機、甘露、加糖、精製、濃縮、巣、本物、偽物、加熱、非加熱、添加、無添加、生、真、ピュア、ナチュラル、ブレンド、オーガニック、特選、高級、デラックスなどと数多い。
商品名の表示に「○○はちみつ」などと使われ、説明文の中にもさらりと挿入される。いずれにしても、意味することが紛らわしく、違いがわかりづらい。
消費者には「判別しやすく、定義を明確に」という要望がある。業界もこれに応える努力をしているようだ。
目立って多いのは「純粋はちみつ」。
全国はちみつ公正取引協議会が定めている「はちみつ類の表示に関する公正競争規約」がある。
この中に、はちみつ類の商品名等の表示基準として[「純粋」、「天然」、「生」、「完熟」、「ピュア」、「ナチュラル」、…(略)…その他これらと類似の意味内容を表す文言を表示する場合には「純粋」又は「pure」という文言に統一して行わなければならない]との規定がある。
使用文言を整理し統一する規定と受けとめられる。
だが、以前からこの規定に疑念が向けられてきた。「純粋」と表示する場合の要件を規定しているのではなく、「天然、生、完熟」を排除し「純粋」の使用を指示しているから。
「天然、生、完熟」は、蜜蜂が巣箱で熟成させた本物の蜂蜜をイメージする。
憶測だが、まだ他にも「純粋」とみなせるもの(例えば、加熱はちみつ)があり、これらを包括して「純粋」と表現することで、加熱処理業者等に便宜を与えようとする配慮だ、との批判が同業者にも根強い。
「消費者に安心して蜂蜜を選んでもらうこと」で「国民の食生活の向上とはちみつ業界の健全な発展に寄与する」ことを目的とした規約において、二〇一九年五月末の改正でも変更はなかった。
消費者は、関係者に十分な説明責任を果たすよう願っている。
(完)
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