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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜の国

加藤優明

 

 蜂蜜は結構好きだ。どれくらい好きかというと小さな瓶に蜂蜜を詰めて、つい筆箱に携帯してしまうほど好きだ。学校の休み時間にそいつを舐めれば、蜂蜜のように僕自身も溶けてしまうような幸福を感じる。瓶の先から一滴一滴ゆっくりと落ちていく夢の粒(蜂蜜)、その瞬間を僕は永遠に感じずにはいられない。身悶えしながらも、夢の粒が舌についた時、夢(甘み)が身体中にゆっくりゆっくり広がっていく。僕はその幸せを一度でなるべくたくさん感じたいがために、舐めていいのは二校時と三校時と五校時の後の休み時間と昼休みと下校中だけに決めている。しかしその蜂蜜に吸われるように、僕は一校時の後の休み時間にも舐めてしまう。もしもこの世に蜂蜜の神様がいたら、こんな僕を許してくれるだろうか?神様が許しても、許さなくても、僕は蜂蜜を舐め続けるだろう。どうせなら神様ももう笑うしか無いというくらいまで舐めてやろう。
 僕はいつのまにか頭の中に蜂蜜の国をつくるようになっていた。そこは絶えず蜂蜜の湧き水が至る所で湧いていて、全てが蜂蜜のお供、パンケーキで出来ている。家も土も教科書も、みんなみんなパンケーキでできていて、食べたい時に食べたいだけ蜂蜜をかけて食べていい。僕の家は10階建(パンケーキ10枚重)でできていて、僕はそこの屋上で右手に蜂蜜、左手で壁(パンケーキ)をちぎりながらから夕日に染まるパンケーキの町を見下ろす。そして感傷的な気分になりながら僕は一句、
 『あの夕日 蜂蜜をかけて 食べちゃいたい』
 
 『どうした?』先生の声がした。みんなが僕を見て笑っていた。黒板にはびっしりと文字が書かれていた。
 現実の世界に戻された……だらだらと冷や汗が蜂蜜のように垂れた。それを舐めるとすごい速さで絶望(塩辛さ)が広がった。

 

(完)

 

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