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蜂蜜エッセイ応募作品

ニホンミツバチの防衛特技

渡辺 碧水

 

 二〇一九年三月十七日、テレビの「サンデーモーニング」で、ニホンミツバチの話題が採り上げられ、巣箱の様子が群馬県から中継された。
 そして、ニホンミツバチが「蒸し殺し」の技で、巣を脅かすスズメバチに対抗する珍しい映像が紹介された。日本の養蜂場で多く飼育されている輸入蜂のセイヨウミツバチにはできない独特の防衛術だという。
 「蒸し殺し」の技と言えば、人間は、今もゴキブリなどの害虫対策でよく用いるし、昔は布団蒸しという方法で子どもを苦しめ折檻をした。
 放映されたものがニホンミツバチにしかできない特殊な技だと聞いて、興味が湧いた。
 日本にいる凶暴なスズメバチは、蜜蜂の巣箱に侵入し、蜜蜂を皆殺しにして幼虫や蜂蜜を奪おうとする。
 セイヨウミツバチの巣は、スズメバチの容赦ない襲撃には無防備状態。強暴な蜂がいない欧米を故郷とするセイヨウミツバチは敵と1対1でしか戦えないし、攻撃の針も相手の硬い胴体には無力である。だから、襲われると全滅となってしまうので、注意深く防衛するのは養蜂場の人である。
 一方、スズメバチと長い間共存してきたニホンミツバチは、極めて特異な防衛行動を進化させて、集団戦法を用いて撃退する。「蒸し殺し」の技は「熱殺蜂球」とも呼ばれ、ニホンミツバチだけが独自に獲得したすごい戦法だ。
 スズメバチに巣が襲われそうになると、一匹一匹を多数の働き蜂が取り囲んで蜂球を形成し、飛翔筋を振動させて発熱し、その熱でじっくり「蒸し殺す」という必殺技である。具体的な戦法は改めて紹介したい。
 蜜蜂が生存し続けられるのは、類い稀な餌集め戦略と、天敵の種類に応じた極めて有効な防衛戦略とを並行して発達させたからである。毒針の刺針行動は哺乳類などに有効であり、植物樹脂を集めた蜂ヤニ(プロポリス)は各種の微生物に対して抗菌性を発揮する。
 蜜蜂の側から言えば、必死に働き、蓄積した生命の糧を失敬する難敵が、実は人間なのである。

 

(完)

 

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