渡邉 碧水
もう死語かもしれないが、「働き蜂が日本経済を支えている」といわれるように、ひたすら働き続けるサラリーマンなどは「働き蜂」にたとえられる。
実際の「働き蜂」は、どんな生涯を送るのか。ふと知りたくなった。たとえの元になった昆虫の「働き蜂」の生態と働き方を養蜂の蜜蜂について調べてみた。
蜜蜂の一つの群れは、女王蜂(寿命は約三年)、働き蜂(同約一~数か月)、雄蜂(同最高約一か月)で構成される。
同じ遺伝子を持つ雌として生まれても、女王蜂のように栄養価の高いローヤルゼリーを食べられない働き蜂は、明らかに短命で終わる。ただし、仕事のエネルギー消耗(産卵と採蜜)の差との説もある。
役割分担が明確な蜜蜂集団では、繁殖にしか携わらない女王蜂や雄蜂に対して、働き蜂は生殖以外の仕事をすべて受け持ち勤勉だ。休息 ・待機組もいて、仕事に切れ目がない。
成長過程で大別され、未成熟な前半の内勤期は巣内での仕事(掃除、育児、巣造り、蜂蜜造り)に明け暮れ、後半の外勤期は巣外に出かけ花蜜 ・花粉の採集に精を出す。
外勤時の飛ぶ能力は秒速六~八m。巣から遠く離れた所から、毎回、自分の体重の半分に相当する花蜜を体内に貯め込んで帰る。花粉は後脚にダンゴ状にして運搬する。
優れた記憶 ・学習能力を備え、自分の巣の位置、花の場所 ・色 ・形 ・匂い、開花時刻などを覚えていて、再度の採集を容易に行える。
普段はおとなしいが、外敵には、腹部(卵管)に内蔵する刺針で毒液を注入すべく立ち向かう。刺針は逆かぎになっているので、一度刺すと針が腹部から外れる。死に至るのを承知で果敢に攻撃する。
役割 ・任務を平然と果たそうとする。人間社会に置き換えると、かつての企業戦士 ・猛烈社員を彷彿させる。今では、使い捨てや過労死の言葉も脳裏をよぎる。
蜜蜂社会にはそんな悲哀も働き方改革もないようだ。蜂事を尽くして天命を待つ。自然界の生態系にただただ畏敬の念を抱くばかりである。
(完)
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