こまっちょ
中学の息子は反抗期。体も態度も私より大きい。会話もなければ、あいさつもない。これが自立。嬉しいのやら、悲しいのやら。そんな息子が先日蜂蜜レモンが食べたいと言い出した。何やら部活の差し入れでもらった蜂蜜レモンに感動したらしい。ここぞとばかりに私は精を出した。レシピをママ友から聞いて、同じ店で大瓶のはちみつを買った。ところがだ。息子は一枚口にいれると首をかしげた。「なんかちがう」そう言われ私も食べてみた。でもやはり普通の蜂蜜レモンである。同じ食材なのに、なぜだ。その時思った。カレーや肉じゃがに家庭の味があるように、蜂蜜レモンひとつとっても環境や作る人によって同じにはならないのだと。机に残された大瓶を見てため息が漏れた。残念ながら息子から「おいしい」の一言はもらえなかった。その晩、主人がニヤニヤしながら帰ってきた。「なあ、今日の蜂蜜のやつ?あれ、職場の女の子が美味しいって食べたぞ」
おいしい思いをしている人間が意外にもこんな身近にいたのであった。
(完)
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