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蜂蜜エッセイ応募作品

もったいない勘違い

増尾由美

 

 子供の頃、朝はパン食だった。朝早く、近所のパン屋さんで焼きたての食パンを会買い、トーストせずに、マーガリンやジャムを少し付けて食べていた。
 ある日、少し大きめのビンに半分くらい、淡いクリーム色の塊が入っている物がテーブルの上に置かれた。何だろう、甘い香りがする ・ ・私が不思議がっていると、母は得意げに「これが本当の蜂蜜よ」と言った。「えーっ、蜂蜜って液体じゃないの?」と私が聞くと、母は「それは偽物の蜂蜜。これが本物なのよ。」と言い切った。
 まだ五歳くらいだった私は、ひどく感心した。そうだったのか、これが蜂蜜なのだ。
 固まったままの蜂蜜は、使い勝手が悪く、不思議な食感だった。
 その日から、琥珀色の液体の蜂蜜は、私にとって偽物の蜂蜜となってしまった。何か別な物が混ざっているのだと信じていた。だからあまり口にしなかった。
 大人になったある日、買い物の帰りにふと、蜂蜜専門店の看板が目に入り、久 々に蜂蜜が食べたくなって店に入り驚いた。アカシア、リンゴ、そばなどたくさんの種類の札の後ろに、色に違いはあるものの、綺麗な琥珀色の液体が並んでいた。あれ?専門店なのに偽物?いや、そんなはずはない。じゃあ、私は母に騙されていたの?私はリンゴの蜂蜜を一つ買って家へ帰った。
 調べてみれば、蜂蜜は液体で、振動を与えたり、寒かったりすると固まるという事が分かった。なんと言うこと。母の言葉を鵜呑みにして今まで蜂蜜をあまり食べて来なかった。ああもったいない。久しぶりの蜂蜜は、甘くてとてもおいしかった。母に話したら、夢でも見たんでしょとごまかされたのだった。
 今では蜂蜜は私の大好物の一つだ。

 

(完)

 

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