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蜂蜜エッセイ応募作品

叔母とプロポリス

伊藤 久美子

 

 秋になると西洋なしのラ ・フランスが店頭に並ぶのをしばらく眺める。値段と大きさを見比べ、ため息をついて立ち去る。山形に住む叔母が生きていた頃は、毎年大きなラ ・フランスが届いたものだ。鯉の煮つけや玉こんにゃく、干し柿などと一緒に大きな蜂蜜の瓶が入っていた。叔母は小さな養蜂所で働いていた。
 叔母は戦争中に幼い娘を亡くし、夫は戦地から戻らなかった。三男一女の弟妹たちは愛知県に住み、叔母だけが先祖の土地を守るために山形に住み続けた。叔母から届く荷物には、戦後を女ひとりで生き抜いたプライドと、私たち姉妹に対する優しさが詰まっていた。
 蜂蜜と共にローヤルゼリーやプロポリスが送られてくることがあった。ローヤルゼリーは母のため、プロポリスは父のためであったと思う。父の弟二人は、働き盛りにガンに倒れていった。ひとり残った父にはなんとしても長生きして欲しかったのだろう。叔母には夫も子どももいない。頼りになるのは弟だけである。そんな叔母の気持ちを知っていたはずなのに、タバコも酒もやめられずに、父は六十歳で亡くなってしまった。
 それから、十年後に叔母は亡くなり、先祖伝来の土地は売られて、山形との縁はなくなってしまった。ラ ・フランスの良い香りとともに、プロポリスの燻製のようなにおいを思い出すことがある。どちらも叔母の思い出である。
 五十代になった私は、健康のことを考えて、プロポリスを飲んでいる。叔母がいなければ、プロポリスに興味を持たなかったかもしれない。周りの同世代は体の不調を訴えるが、私はすこぶる元気である。卓球に熱中していて、週に五回練習に励み、年に五十以上の大会に出場している。健康に感謝して毎日を大切に過ごしている。そろそろローヤルゼリーも必要かしら。いつまでも若 々しくいたいから!

 

(完)

 

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