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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

僕について

柳田 新奈

 

 僕はいつも、堂 々と食卓の上に立っている。醤油や塩は、台所と食卓の間を、一日に三回は往復して体力を消耗しているのに、一往復さえしない日がほとんどだ。だからこんなに太ってしまったのかな。砂糖は、僕をじろじろと見ては、暇そうで羨ましいとよく嘆いている。毎週日曜日の朝、ホットケーキの焼ける匂いがしてきたときは、少し身構える。すずちゃんが僕を、その小さな二つの手で掴み、いつも僕がいる位置にはホットプレートが置かれた。体が少し熱くなってきたので、外の雪を見て気を紛らわせていたら、目が合ったお兄ちゃんが台所へ連れて行ってくれた。新しいのが投入されているところに、「それくらいにしときなさい。」と言って止めてくれたお母さんに感謝。体が重くて苦しかったから助かった。ちょっと体に垂れちゃったけど、いい感じに体が冷えたみたいだ。来週はすずちゃんの発表会があるから、一人じゃなくなって嬉しいな。もうすぐ友達と会えるのはもっと嬉しいけど、その前の一連の儀式は、いつもとても緊張する。そこで命を落とす友達は、決して少なくはないのだ。去年、帰ってくると思っていた友達の一部を床の上で見つけ、涙を流したのをよく覚えている。それは、固く、鋭くとがっていて、いつも穏やかな友達が嘘みたいな姿に変貌してしまっていた。新聞紙に包まれたときも、かちゃり、とも音を立てなかったのだ。まるで、恨みで心が冷えきってしまったかのように。そんなことを考えていたら、じっと見ていたお父さんがふいに鼻を近づけてきてびっくりした。「お花、そろそろ捨てた方がいいかしら。」と言う声が聞こえる。最近、お母さんが少し疲れた様子なのが気になるけど、とにかく覚悟を決めなければ。

 

(完)

 

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