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蜂蜜エッセイ応募作品

歌会始選歌に詠まれた蜂蜜 ・蜜蜂

渡辺 碧水

 

 二〇一九(平成三十一)年一月十六日、新年恒例の「歌会始の儀」が皇居で行われた。お題は「光」。
 皇室関係者などに加えて、一般応募の二万一千九百七十一首の中から入選した十人の詠進歌も古式ゆかしい節回しで披露された。その中に、蜂蜜が詠まれた一首があった。
 分離機より光りて落ちる蜂蜜を指にからめて濃度確かむ
 栃木県鹿沼市の主婦 ・大貫春江さん(七十七歳)の作品である。
 蜂蜜の特質が際立つ一瞬の光と輝きを捉えた素晴らしい着眼点の作品である。
 人 々が集まって共通の題で歌を詠み、その歌を披講する会「歌会」は、「万葉集」によれば、既に奈良時代に行われていた。しかし、一般の詠進が認められ、宮中の歌会に国民が参加できるようになったのは一八七四(明治七)年である。
 一般の詠進歌のうち、特に優れたものを選歌とし、歌会始で披講されることになったのは一八七九(同十二)年。これは、宮中歌会始の歴史の中でも画期的な改革であり、この時、国民参加の歌会始の根幹が確立されたのである。
 百四十年の歌会始の歴史で、「蜂蜜」を詠い込んだ詠進歌入選作品は過去にあっただろうか。私の雑な調査では、他に見付けることができなかった。
 「蜜蜂」ならどうであろうか。一首だけ見つけ得た。
 巣箱いでて遠くはとばぬみつばちの羽根きらめけり浅き春日に
 一九五六(昭和三十一)年で、お題は「早春」。兵庫県西脇市の歯科医 ・藤原象二さん(年齢不詳)の作品である。
この作品もまた、蜜蜂の働きの素晴らしい特長を、一瞬際立った羽根の光り輝くさまに見出しているのではなかろうか。
 「蜜蜂」の勤勉 ・結束 ・秩序などの有能性を、「蜂蜜」の栄養 ・甘味 ・薬効などの有効性を、人 々は昔から称賛し、宣べ伝えてきた。養蜂法も確立し、永 々と恩恵を享受し続けてきた。
 だが、蜜蜂の、蜂蜜の姿そのものに、その輝き光る瞬間に、どれだけ尊厳と感謝の目を向けてきただろうか。詠進入選歌で、それを気づかされた。

 

(完)

 

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