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蜂蜜エッセイ応募作品

熊捕獲に蜂蜜の出番

渡辺碧水

 

 北海道の北端にある利尻島で、一〇六年ぶりにヒグマの存在が確認され、ちょっとした騒動になった。
 二〇一八年五月下旬に熊の足跡が見つかり、その後、姿も固定カメラで撮影されたが、七月十二日に見つかった糞と足跡を最後に痕跡が途絶えた。地元の町などは、九月下旬、人が襲われる危険性があるとして、島内にまだいるかどうかを調べることになった。
 仕掛けは「プーさん」作戦。童話『クマのプーさん』は一九二六年発表のイギリスのミルンの作品だが、アニメ化がなされ、有名になった。
 日本で知られる『くまのプーさん』は蜂蜜が大好きで、太った体でいつも蜂蜜壺を抱えている。この好物の蜂蜜を利用し、匂いで熊をおびき寄せ、撮影しようとした。
 山奥の林道で、蜂蜜を吸わせたスポンジ入りの容器を四mの高さにつるし、近くの木の幹にはセンサー付きのカメラを設置。熊が近づくと体温を感知して自動で撮影する。
 ロシアで「蜂蜜を食べるもの」と呼ばれるように、熊は蜂蜜好きだ。ただし、熊が蜂の巣を襲う主目的は、タンパク質と脂質が豊富な蜂の子で、蜂蜜は副次的なものだそうだ。
 犬の嗅覚が鋭敏なことはよく知られている。最も嗅覚の優れるブラッドハウンドは人の三百倍鋭い。だが、動物の中で最も鼻が利くのは熊で、人間の約二千百倍も嗅覚が優れているそうだ。
 その嗅覚の敏感は、エサの置いた場所を記憶すること、差し迫る危険を察知すること、子熊が迷子にならないようにすること、などにも役立っている。
 さて、利尻島の熊確認調査はカメラ五台を設置して約一週間なされた。しかし、熊は姿を現さず、撮影は皆無。秋が深まり、冬眠を控えて活動が活発になるとみて、作戦をもくろんだが、肩透かしに終わった。
 専門家は「島外に泳ぎ去った可能性が高い」とみなす。
 熊の嗅覚を刺激する蜂蜜の出番で、熊の動きをしっかり確認できると思ったが、結末はまろやかに平穏に。蜂蜜の証明で島全体が平静を取り戻した。

 

(完)

 

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