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蜂蜜エッセイ応募作品

ナポレオンの蜜蜂紋章

渡辺 碧水

 

 二〇一九年の正月の間、わが高貴高齢者夫婦は、賑やか過ぎるテレビ番組を避けて、世界遺産のビデオを観て過ごした。「ルネサンス」の巻では、フランスのフォンテンヌブロー宮殿が紹介された。
 その中で、かの有名なナポレオン皇帝が蜜蜂を「紋章(エンブレム、象徴的文様)」の一つにしていたと語られた。歴史に疎い夫婦は知らなかったので、いささか驚いた。
 好奇心に駆られ調べてみると、知る人は知る周知の事実だったが、なぜ彼が紋章に蜜蜂を採用したのかとなると、世俗的考察から学術研究の論考まで様 々な説があることがわかった。
 各人は、それらの中から得心がいくものを選びなさい、と受けとめた。私が納得した説明を次に示そう。
 ナポレオンは、フランス最古の王朝とされるメロヴィング朝王家の紋章が蜜蜂であったので、これを巧みに自分の紋章に採り入れた。
 もともとコルシカ島の一貴族に過ぎなかった彼は、戴冠式の衣装の中で、ローマ帝国の皇帝ゆかりの月桂冠と歴代のフランス王家の品 々を組み合わることによって、自分が正当な君主にふさわしい人物であることを視覚的にアピールしようとした。自身の強い意志を人 々に誇示するものでもあった。
 では、最古の王朝家がなぜ蜜蜂を紋章としたか。遠い昔の宗教と生活に由来するとみたい。
 元来、蜜が貴重な栄養源であり、神の食べ物であった。「働き蜂」の活発 ・勤勉 ・結束 ・秩序は修道院生活の模範とされ、その働きぶりと蜂蜜の甘さは聖人たちの言動にもたとえ得る。蜂の巣を教会に見立てれば、熱心な蜜蜂は共同体にひたすら忠誠を尽くす信徒ともみられる。
 蜂蜜は実生活に結びついていて、古代ローマの食料の保存によく使われていたし、甘い蜜は甘美と言う意味合いもあり、高価な砂糖の代替品として活躍していた時代も長かった。これを生産する蜜蜂は身近な昆虫だった。
 最後に、何よりも彼は蜂蜜が大好きだったからとの説も支持したい。蜂蜜はコルシカ島の名産だ。

 

(完)

 

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