三休 健
これ普通に美味しいよ。
普通に良かった。
それ普通にないよね。
毎日のようにこの言葉が耳に入ってくる。
普通とは。いつ、どこにでもあるようなありふれたものであって、他と異なるものを持っていないという特徴があるけれど、もしこの言葉が味を示す意味なら、普通は全く誉めていない。
バレンタインは手作りでいこうと決めたものの、本格的に1からは面倒になり、売っているチョコレートを溶かしてハートの型に流して固めただけ。
友人に食べてもらうと、普通に美味しいという言葉が返ってきた。
それはどこにでもある、ありふれた味という事だろう。
市販のチョコレートを溶かしただけなのだからそりゃそうだろうと感じながらも、作った気分に浸っていた私は、普通に美味しいが悲しくもあった。
そこで、手抜きをして驚かせたい私が考えたのは、ハチミツを飴玉サイズの型に流して固めただけ。
ここでまた先程の友人にあげてみる。
まず、バレンタインならチョコレートだろうと思っている友人は、ハチミツ色のその玉を驚いて見ていた。
口に入れて初めてハチミツだと理解し、一言。
美味しい。そう言われ右手でつい、ガッツポーズを作る。
普通にという言葉が入っていない事に嬉しさを噛み締めた。
(完)
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